疾病利得という考え方



 1. 疾病利得とは
2. 疾病利得の例
3. 理解して手放す


疾病利得とは



疾病利得とは、もともと精神学者のフロイトが治療に抵抗する要素のひとつとしてあげた概念で、

 

身体症状の異常によって患者にもたらされる利益があるため、病気を手放せない

 

というものです。

 

病気があることで患者自身が不安や寂しさから解放されること、周囲からの同情や世話により

これらの欲求を満たすことができるという2つの利点があります。


疾病利得の例


病気になれば学校へ行かなくて済む
病気になれば親が仕事を休んで面倒を見てくれる
体調不良が続けば会社に行かなくて済む
 



そう思うと「頭痛」「腹痛」「吐き気」「パニック」「発作」などの症状を無意識に作り出すことがあります。
これらの症状は実際に痛みや身体的な異常を伴います。本人にとっては苦痛でしかありません。

これらは実際に意識的に病気を装う詐病とは異なります。


詳しく説明します。
心と脳が密接に関係していることは既にお話しした通りです。


 不安やストレスを感じると扁桃体が始めに刺激されます。

 

そして『不安や恐怖に対処せよ』という指令が脳の視床下部に伝えられます。

 

 

視床下部は下垂体を経由して副腎に、

「緊急事態発生、コルチゾール、アドレナリンを分泌せよ」
と指令を出します。

 

下垂体は副腎に連絡をします。 

 

 

精神的な恐怖やストレスは、扁桃体→下垂体→視床下部を経由して、全身に大なり小なりの影響を及ぼします。

 

本来、危険と闘う、または逃げるためにあった本能的な身体の反応が、現代の生活に必ずしもそぐわない反応を示すことが起こる場合、さまざまな身体症状を引き起こすことがあります。 

心の問題はお互いに複雑に絡み合っています。そして、身体に影響します。

『交感神経の緊張状態』は免疫力を低下させることは病気とはで説明した通りです。つまり、心の問題が病気の原因となる、ということです。


例えば、大人の喘息患者に、発作の原因となる抗原を吸ってもらい、発作を想像させる言葉をストレスとして聴かせます。

脳は興奮して身体の炎症を起こす物質を増やし、発作を誘発できることが報告されています。

 

また、喘息のモデルマウスでも精神的ストレスが脳を介して免疫細胞の機能を弱らせることは多数報告されています。

 

喘息の子供さんで呼吸機能やデーター上は落ちついていてもストレスがかかると発作を起こすことがあります。成長につれて肉体的にも精神的にもストレスに強くなって心もコントロール出来てくれば自然と発作の回数も減ってきますが、精神的に脆弱な部分があるとやはりコルチゾール(ステロイド) がすぐに足りなくなって発作を起こしてしまいます。吸入薬が手放せません。

 

このような場合は、専門医でも判断が困難になるため、薬を変更したり量を増やしたり、もっと強い薬を使うことで対応されがちです。

しかし、こうなると、本来の細胞機能が見落とされてしまいます。必要な薬でも量が多ければ身体に害になることすらあります。そしてこれらの余分な薬を飲めば、解毒機能を働かせるためにさらに肝臓や腎臓はエネルギーが必要になります。

心の部分には触れないままで、薬でフタをしてしまうと、自己治癒力が働かないばかりか心の成長のタイミングも先延ばしにすることになります。そして、薬が手放せなくなります。

 

学校に行きたくない、と思うだけでお腹が痛くなる子供は嘘をついているわけではありません。親の優しい声かけで笑顔が戻るレベルであれば痛みはさほどでもないかもしれませんが、これが繰り返され、長期になると脳や細胞レベルで痛みを継続させる可能性を秘めているので要注意です。

腹痛を起こしている原因は何なのか、不安を引き起こしている理由が何なのかを突き詰めて、精神的なフォローを行うことは必須です。


理解して手放す


 

例えば、薬が手離せない頭痛もちの方でコーヒー好きの方がおられます。

 

一日中コーヒーを飲む習慣で、カフェインが切れると頭痛を引き起こすのです。

コーヒーはただの習慣だと思っていたら、すでに副腎疲労 の状態で、ないと元気が出ません。

 

こういう場合は、副腎機能を高めるために栄養をしっかり取る必要もありますが、一日中コーヒーを飲む原因は何か。商談や飲む機会が多いとか、自分がカフェインを欲する原因が何か、無理して元気を出さないといけない状況は何か。そして、これを改善する方法が何か、まで突き詰めないと、頭痛に悩まされない、薬のいらない生活は手に入れることは出来ません。

 

医者や家族には鎮痛剤を手渡すことくらいしかできないからです。

 

「疾病利得は、患者から奪ってはならない」

と、セラピストや医者のなかでも考えられることがあります。

しかしそうなれば、

患者さんはただ見守られたままです。

 

本当にそのままで良いでしょうか。

 

ストレスを感じているかぎり、自分で病気を続けなければならないことになります。

 

 

もしもこの、疾病利得という考え方が万が一あなたの心にひっかかった場合は、

 

病気に悩まない生活が

もっと快適であるということ

 

病気で得られていた得を、

別の方法で得ることが出来る

 

ということを知っていただき、自分の深層心理としっかり向き合って

病気を手放すためにどうすれば良いか

自分で出来ることは何かを探してください。

 

このサイトの中から見つけたことをひとつでも多く実践していただけたらと思います。