副腎疲労の治し方 ~サプリ編~
サプリメントは一時的な救済策
継続可能な健康は
毎日の良い習慣から作られます。
ここにあげるサプリメントは通常量では、基本的には身体に悪影響を及ぼさない種類のものです。
しかし、工場で作られるサプリメントは薬と同じく、人工的に合成されたものであることには変わりません。
サプリメントに含まれる成分や不純物により、もともと肝臓や腎臓の機能が低下している方は、薬剤性の肝障害や腎障害を引き起こす可能性があります。
少なくとも検診や健康診断での肝機能が正常範囲にあり、尿検査で異常を指摘されたことがないことを確認したうえで自分に合ったサプリメントを選択してください。
また、各社製品の内容をしっかり確認した上で、製品を購入するようにしてください。
万が一、内服開始後、身体に異常、異変を認めた場合は必ず摂取を中止し、適切な医療機関を受診してください。
他項を参考にして実践しつつ、サプリメントを使用して下さい。
サプリメントの開始と同時か、少なくとも1週間以内に
精神編の『ストレスになるものと対策』『幸せになるもの・こと』をリストアップしたものを部屋の中の良く目に付くところに貼って、暇な時に眺めるようにして下さい。
サプリメントだけで取り戻した健康は長続きしません。
精神面のストレス対策と両者が揃って初めて治療は進んでいくことを忘れずにいて下さい。
副腎疲労症状が自分に当てはまる方は、最低限準備するサプリメントは①〜③の3つ、可能なら④〜⑥、状況に応じて⑦〜”その他のサプリメント”を参考に併用して下さい。
番号の小さい、上位にあるものほど優先順位があがります。
これらのサプリメントはインターネットなどで購入できます。具体的な商品はここには記載しませんが、しっかりとその成分を確認して、使用者のコメントなどを参考に基本的には製品に書いてある容量、用法を守って使用して下さい。
(以下に記載した種類、容量、用法は数日続け、異常がなければ継続して下さい。)
(対象は16歳以上、男性、女性ともに体重30kg以上の方です。)
優先順位の高い3つ
① ビタミンC(別名アスコルビン酸)
② 総合ビタミンB剤
③ プロバイオティクス(乳酸菌製剤)
+
一緒に取り入れたい4つ
④ 亜鉛(zinc) 20mg〜50mg
⑤ マグネシウム 500〜600mg
⑥ 消化剤
⑦ DPPⅣ (ディーピーピーフォー) →グルテン(小麦製品に含まれる)カゼイン(乳製品に含まれる)を含む食事をする場合
① ビタミンC (最低でも1日2g、状態が落ち着いた後でも半年以上は継続、その後も適宜使用すると良いでしょう。)
慢性下痢症、インスリン治療中の糖尿病の患者さん、腎臓結石のある方、ヘモクロマトーシスの患者さん、子供には使用しないでください。(食事からのビタミンc摂取をおすすめします)
動物の中でも人間だけがビタミンCを自分で作れない、と一般的にいわれています。これは、進化の過程で果物や食べ物から摂取するようになったため、自分で作る必要がなくなったからだといわれます。
ビタミンCは全身のあらゆる細胞に有害となる活性酸素を無害化する(抗酸化)作用があります。
特に、副腎という臓器はビタミンCを特にたくさん必要とする臓器です。そして、何らかの病気をすでに発症している人、疲労症状が出ている人はこの抗酸化が上手く働いていないためミトコンドリア自体の機能が落ちています。
ビタミンCの有効性は実はその量に比例しません。体内から代謝される時間は、少ない量では長くなり、多い量では短くなることがわかっています。そして、一度に大量に摂取しても、余剰量は尿中に排泄されるため、朝、晩の2回、可能なら朝、昼、晩3回などトータル量を分割して頻回摂取をお勧めします。
はじめはできれば最低でも2gから始め、増量を徐々に行い、最大6gまでは安心して使用してください。下痢や便が柔らかくなればそれがあなたの最大量ですので、これより少ない量で複数回に分けて摂取して下さい。
(例: 朝1g、昼1g、夕1gや朝2g、夜2gなど。飲み忘れても大丈夫です。思いつめないこと。)
② ビタミンB群 (ビタミンBコンプレックス)
現代社会において、多くの人の不調の原因となっているビタミン不足。
ビタミンBには8種類ありますが、これらは全てお互いに関係して働くので総合ビタミン剤として使用することをお勧めします。また、ビタミンBは水に溶けやすい水溶性のビタミンで約3時間で尿中に排泄されます。朝・夕または朝・昼・夕のようにトータル量を分割して頻回摂取をお勧めします。
エネルギー不足に伴って食事摂取エネルギーが増加する(特に糖質が増える)とビタミンBの必要量が増加します。現代のビタミンB不足は、野菜や農作物のビタミン量が減少していることに加えて、糖質過剰が引き起こす相対的なビタミンB不足が主な原因です。
本来ならば『食事』と『腸内細菌が作り出すビタミンB』でバランスをとるよりもはるかに多くのビタミンBを必要とする現代の生活様式も関係しています。
炭水化物、砂糖などの糖の代謝にはビタミンBが必須です。
また、パソコンやスマホ、ゲーム、テレビなど目や頭を酷使することでもビタミンBを大量に消費することがわかっています。
ビタミンBならサプリでとっくに飲んでいる、かもしれませんが、その成分、容量を確認して下さい。
一般に流通している手軽なサプリは1mg程度です。
すでに症状の呈する状況でビタミンBが足りない場合、理想的な複合ビタミンB製剤のチアミン(ビタミンB1)量は10ー20mgです。10倍の量が必要です。手軽なサプリでは全く足りていないことになります。
副腎疲労の場合、目安はビタミンB1、B2、ナイアシン、B6が最低でも1日トータルで50−150mg程度摂れる製剤を選んでください。
また、マルチビタミン、コンプレックス製剤には他にカルシウムやマグネシウム、亜鉛、その他のミネラルもバランスよく配合されていることが多いので利用されると良いでしょう。スーパーやコンビニの『総合ビタミン剤』は容量が少ないことが多いので、しっかり内容、成分量を確認し、オンラインなどで購入されると良いと思います。
「ちょっと今日は疲れたな」くらいの陽気なお父さんにはコンビニで売っているビタミンBドリンクで十分かもしれませんが、慢性的な疲労感が長く続く場合にはサプリメントの使用をお勧めします。
ただし、これに伴って、元気が出過ぎて結局また無理をしたり、お菓子やビールの量が増える、過食気味になるなど、逆に、糖質欲求が強くなる場合には特に、心の問題を解消することが必要であることを覚えておいて下さい。
③ プロバイオティクス
プロバイオティクス(乳酸菌製剤、植物性乳酸菌、酵母など)はできれば菌数の多いもの、なるべく菌の種類が多いものをオススメします。含まれている菌の数は、できれば100億(海外製品では10billion)以上、お腹の張りや便の調子をみながら自分に合ったものを見つけられると安心でしょう。菌数が多くなるほど値段も高くなりますが、300億、500億といった製品もあります。
乳製品が好きな方はAcidphillusから始められても良いですが、acidophilusはどちらかといえば、乳製品を多く摂る欧米人向きの善玉菌です。
また、カンジダ症状など、すでに症状のある人はしばらく乳製品は控えた方が良い方も多いですし、歴史的にみても母乳の後は"乳"とつくものは摂取しない日本人であれば、他のビフィドバクテリウム(ビフィズス菌種、B.LongumなどはじめにBがつく)、またはラクトバチルス(L.CaseiなどはじめにLがつく)を含めたプロバイオティクスを特におすすめします。
ちなみに納豆はBacillus natto というバチルス菌株です。
最近人気のロイテリ菌という菌種は人の母乳から見つかった菌種で、歯周病や虫歯予防にも効果があると言われています。歯科治療歴や差し歯、歯周病、歯科金属のある方は腸内、口腔内両方への効果が期待でき、特におすすめします。
サッカロミセスという酵母のプロバイオティクスも細菌やカンジダを退治する効果があると言われています。カンジダ症状のある方にオススメします。酵母は発酵食品にも多く含まれます。一種類に偏らずまんべんなく、バランスが大切です。
"注意"
すでに胃腸症状や乳製品にアレルギーのある方は乳製品に含まれるカゼインに反応しやすい場合がありますので、乳成分の含まないプロバイオティクスを使用して下さい。
④ 亜鉛 1日20mg〜50mg
肉も魚もしっかり食べている方は不足することは少ないですが、タンパク質の足りない痩せ型の人や、有害重金属の蓄積がある方、副腎疲労の状態では不足している可能性が高いミネラルです。
亜鉛はとくに細胞を傷める活性酸素を除去する行程に欠かせません。つまり細胞の自己治癒力を高めるミネラルといえます。
口内炎が出来やすかったり、肌の調子が悪い、傷が治りにくい、爪が割れやすいなどの症状がある場合にも有効です。
亜鉛は鉄剤と一緒に飲むとお互いに吸収を邪魔します。
自分が飲んでいるものの中に鉄が含まれていないか確認し、タイミングをずらすなどの対策をしてください。
⑤ マグネシウム 1日 500~600mg
・いらいら
・気分の落ち込み
・歯ぎしり
などの症状を認める方、特に月経前症候群や生理不順のある女性の場合は不足していることが多いミネラルです。
チョコレートを異常に欲する、月経前にチョコレートが食べたくなる、という方はマグネシウムを内服するだけでチョコレートへの欲求が緩和される場合がよくあります。
チョコレートには人に多幸感を味あわせるβエンドロフィンを増やす作用があります。さらに現代のチョコレートには大量の砂糖が入っており、これによるリラックス効果が大いにあると考えられますが、純度の高いカカオにはカフェインやテオプロミン、アナンダミドという物質が含まれ、特に人に多幸感をもたらすと言われています。
古代マヤでは純度の高いカカオが『神の食べ物』と言われ儀式にも使われていました。
その歴史を見てもチョコレートは実は ”簡単に手に入るリラックス効果の高いクスリ”と言えます。
疲れたときに口にするチョコレートには非常に高いリラックス効果がありますが、一方で砂糖の量が多く、依存性もあります。
効果が切れるとその後の急激な血糖値の降下が不安やイライラ、うつ症状が出るなど、精神的な落ち込みを引き起こします。
『砂糖が鬱を引き起こす』と言われるほど、血糖の増減は、気分の高揚と落ち込みに関係します。
お菓子がやめられない、症状が深刻でチョコレートに依存的という方は、特にマグネシウムサプリを試して下さい。
また、食事ではごまやひじき、わかめ、干し椎茸、雑穀類、にがり、豆腐を積極的に取り入れましょう。
おやつにアーモンド、カシューナッツ、かぼちゃの種などをプラスしてみてください。
お風呂にエプソムソルトを入れるのも良いでしょう。
⑥ 消化剤 (食事、症状に合ったものを)
消化剤には以下の3種類があります。
アミラーゼ・・・・糖の分解
プロテアーゼ・・・・タンパク質の分解
リパーゼ・・・脂肪の分解
特に、副腎疲労を起こしやすい方は、肉や魚が苦手、脂ものを食べると胃がもたれる、胃薬を常用しているなどの胃腸の弱い方が多く認めます。ストレスが胃に来る、ストレスで下痢をする、なんて人です。
こういった方は消化の力も弱く、消化に時間と手間がかかります。
副腎疲労では細胞の原料となるタンパク質を肉や魚から積極的に取るように指導をしますが、咀嚼が十分でなかったり、腸管で吸収できる状態でなければ、食べたタンパク質は自分の身体の細胞には生まれ変わりません。さらに、腸の中で腐敗したタンパク質が腸管に負担をかけます。
タンパク質の摂取の際にはプロテアーゼを含む消化剤、またはこれらの合剤である酵素製剤を是非使用して下さい。
薬でなく自力でという方はは、“とにかく咀嚼” です。これで胃や腸の消化液も増えます。そして何より、食べ過ぎを防ぎます。唾液のアミラーゼもフルに活用して、胃腸の働きを助けましょう。
⑦ DPPⅣ (ディーピーピーフォー、ジペプチルジルペプチダーゼ4)
副腎疲労を起こしている方は、腸内環境が不良の方が多く、リーキーガットやカンジダ症を起こしている場合が多いです。その場合、小麦に含まれるグルテンや乳製品に含まれるカゼインにも反応するため、不快な症状を引き起こします。
これらに含まれる高分子のタンパク質は腸に負担がかかることがあり、不快な症状を起こしていることがあります。
DPPⅣはやむ追えずグルテン(小麦製品に含まれる)やカゼイン(乳製品に含まれる)を含む食事をする場合に用います。
グルテン、カゼインというタンパク質を分解する酵素です。給食の牛乳が苦手だった、牛乳でお腹がゴロゴロするなどの症状のある方は、これらの食品を取る際に使用すると良いでしょう。ただし、小麦・乳製品など基本的に体質に合わない食品は、長い目で見ても量を減らすか、摂取しない生活が適していますので、是非、これらを摂取しない食事、これらを摂取しなくていい生活をゆっくりめざしてください。そのうちにたまに食べても何も反応しなくなります。日本の昔ながらの和食中心の生活が理想的です。
以下に症状に応じたその他のサプリメントを提案します。
インターネットで購入できるものは中身をしっかり確認した上で、用法、容量を守って使用して下さい。
⑧ カンジダ対策サプリメント ( カンジダについての詳細はカンジダ症の項参照)
頻繁に性器カンジダ症になる、精製砂糖や小麦製品をとった後にだるくなる、頭がボンヤリするなどの症状がある場合、食品そのものの影響と腸管内のカンジダがこれらの症状を引き起こしている可能性を考えます。
カンジダ対策おすすめサプリメント
・グレープフルーツシード
・カプリル酸
・オレガノ、ベルベリン
などのハーブ系サプリメント
用法、容量は製品の記載を参照してください。
⑨ 有害金属対策サプリメント
・クロレラサプリ
・活性炭
・ベントナイト粘土を含むサプリメント
・キトサン
・アカシアガム
・アロエ
用法、容量は製品の記載を参照してください。
ただし、何らかの有症状と口腔内にアマルガムなどの歯科金属がある方は、可能なかぎり
アマルガム除去に対応している専門の歯科で金属そのものの除去を行なうことをおすすめします。
Endnotes
/ 参考文献 :
Hickey
et al. “Dynamic Flow: A New Model for Ascorbate.” J Orthomolecular Med, 20(4), 237.
Cathcart
R. “Vitamin C, the nontoxic, nonratelimited antioxidant free radical scavenger.” Medical Hypothesis,18, 61-77.