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養生法 冬は腎を温める (五行説)

古代中国では、自然界のあらゆるものは5つの性質(火・水・木・金・土)からなると解釈しました。

 

これら5つの性質が 『お互いに関係し合い、その強さやバランスによって変化し、循環する』

と考え、これを、自然、人間、社会においても取り入れ、様々な思想が確立されました。

 

東洋医学でもこれと同様に、この5つの要素がお互いに関係し合ってバランスをとっていると考えます。

 

 このなかでも代表的な5臓といわれる『肝・心・脾・肺・腎』のうち、

 

『冬』と関係するのが

 

『腎(じん)』

 

です。

 

『腎(じん)』は古代中国、中医学では腎臓(じんぞう)や膀胱(ぼうこう)、生殖器(せいしょくき)をおもに指して解釈されていますが、腎臓に寄り添っている副腎(ふくじん)こそ、この腎の働きを助ける臓器です。(→本編『副腎とは』参照)

 

五行説では、この『腎』が弱ると『心』に影響が出ると解釈します。西洋医学的には、カルシウムやマグネシウム、ナトリウム、水のバランスが崩れて血圧や不整脈を来したり、腎臓で作られる血液を作るためのホルモン(エリスロポエチン)が不足して、貧血や血行不良、心臓の働きに影響するという説明ができます。

 

『腎』が弱る生活習慣は『寝不足』です。

寝不足は、副腎、脳に大きな負担をかけ、日中の活動低下につながります。(→本編『睡眠』参照)

 

『腎』を高める習慣は『深い呼吸』です。腎の矢印のひとつ前の臓器である『肺』の機能を高めることは腎に良い影響をもたらします。腹式呼吸を心がけることで横隔膜がよりダイナミックに動き、呼吸筋、腹筋が鍛えられ、腎臓のある腰部や生殖器のある骨盤内の血流も良くなります。(→本編『呼吸』参照)

 

『腎』を癒すのに適している感覚は『聴覚』です。静かなところで耳を休める、心地良い音楽を聴くのもおすすめです。(→本編『環境を整える』参照)

 

『腎』の働きを高める食材は『黒い食べ物』です。

 

お正月に食べる『黒豆』はその代表です。また、黒ごま、ひじき、海苔、あおさなどの海藻類黒米、黒きくらげ、干し椎茸、小豆はこの時期にちょうど良い食べ物です。

 

これらは、栄養素を見るとどれもマグネシウムが豊富な食材です。

 

マグネシウムはミトコンドリアの活性化には欠かせません。

 

ストレスの多い人ほどマグネシウムは不足しやすく、乳製品を多く取る人はカルシウムに偏ったバランスのため、相対的なマグネシウム不足に傾きます。

これら食材からであれば、マグネシウムはバランス良く摂取する事ができます。

マグネシウムはセロトニンの合成に欠かせないストレス対策の要です。

 

寒い冬の夜長は、昆布だしの湯豆腐でも頂き(海苔やあおさをのせても良いですね。)

耳に心地良い音楽を聴きながら過ごし、早めに布団に入ってしっかり睡眠を取りましょう。